介護福祉士 第20回 医学一般 解説


[問題1] 解答5

A 幽門は胃と十二指腸の境界にあって、胃で消化された食べ物がここを通って十二指腸へ流れ込みます。

B 腸は、大きく小腸と大腸の2つに分けられます。
小腸は更に口側から、十二指腸、空腸、回腸に分けられます。
小腸の口側から2/5が『空腸』、3/5が『回腸』ですから、Bは誤り。

C 正しい。
大腸は盲腸、結腸(口側から上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)、直腸に分けられます。

D 正しい。




[問題2] 解答2

A 正しい。
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積により糖代謝異常(耐糖能異常、糖尿病)、脂質代謝異常(高中性脂肪血症、低HDLコレステロール血症)、高血圧などの動脈硬化の危険因子が、一個人に集積している状態です。

B メタボリックシンドロームは、日頃の食生活と運動で、ほぼ改善できます。
症状が進み、内臓を始め血管などに脂肪が張りつく事で、いずれ脳卒中や心筋梗塞を引き起こす動脈硬化になってからでは、個人で対策していくのは困難ですから、その時には薬物療法になります。
まずすべきことは、食事・運動療法です。

C 正しい。
20歳以上で疑いのある男性は22.4%。
予備軍は22.9%で、合計したら約45%もあります。

D メタボリックシンドロームには、内臓脂肪の蓄積により糖代謝異常(耐糖能異常、糖尿病)のある人も含まれます。




[問題3] 解答4

女性では、閉経期を過ぎると女性ホルモンのエストロゲン分泌低下により著しい骨量減少が起きます。

痛風の原因は高尿酸血症といって、血液中の尿酸値が高くなっている状態です。
針状の尿酸結晶が神経をチクリとして、痛風発作が起こります。
靭帯の骨化は頸稚に最も多く、脊髄の圧迫により、手足のしぴれや痛みを引き起こします。
痛風とは、まったく関係ありません。

リウマチは男性より女性の方がなりやすく、その比率は男性1に対して女性は4。
30〜50歳くらいの女性が発病しやすく、妊娠・出産、そして、女性ホルモンが関係していると考えられています。

正しい。
大腿部頸部骨折は、自力では体位変換が難しく寝たきりになって、褥瘡、肺炎、認知症と合併症を併発してしまうことがあります。
そのために骨折を早く診断して、出来るだけ早く手術し、臥床期間を短縮することは大切なことです。

変形性膝関節症が進行した人の場合には、杖の使用が有効です。
ひざの負担が軽減されるので悪化を防ぐことになります。




[問題4] 解答2

A 正しい。
脊髄小脳変性症は、運動失調を主な症状とする神経疾患の総称です。
 
B パーキンソン病では、鬱症状が合併して現れます。

C 正しい。
この病気は、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉が、だんだんやせて力がなくなっていく病気です。
食べ物の飲み込みが悪くなる嚥下障害も起こります。

D 正しい。
子供におこる難病の一つで、自己の組織に対して抗体を作るため、腎臓など全身の臓器に障害が起きる病気です。
発熱、関節炎、体重減少などの症状が出ます。



[問題5] 解答1

「ナトリウム 〜 カリウム 〜  野菜」 が正解。
ナトリウムを多く含むものは、血圧を上げます。
塩は塩化ナトリウムといい、まさにナトリウムの固まりですから、摂取量を多くとってはいけないことになります。
化学調味料もそのほとんどがナトリウム塩で、塩のようにしょっぱくありませんが、多めに取らないように注意が必要です。
血圧を下げるカリウムは、野菜に多く含まれています。



[問題6] 解答4

正しい。
麻疹(はしか)は、空気感染を直接経路とし、感染力は強力で、飛沫感染によっても感染します。

正しい。
ヒゼンダニ(疥癬虫)というダニの一種が、皮膚の角質層内に寄生して起こる皮膚の感染症。

正しい。
インフルエンザの診断に、今では迅速キットが欠かせません。
鼻・咽頭粘膜から、綿棒で粘液を採取して、検査します。

ノロウイルス感染症の予防接種・予防内服はありません。
手洗い励行、二枚貝などは生ものを食べないで、十分加熱するのが有効な予防対策です。

正しい。
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は自然界に広く分布し、そこら中に生息する細菌で、健康な人の鼻や口にもみられる常在菌ですから、健康な人は過度の不安は不要です。
でも免疫機能が低下した患者に院内感染として起こりやすく、高齢者や術後患者は感染すると死亡率が高いので要注意です。



[問題7] 解答3

A 正しい。

B 側臥位ではなく、仰臥位の時に仙骨部、踵部に発生しやすいです。

C 正しい。
皮下組織が壊(え)死に陥ると、黒色痂皮を形成します。
黒色痂皮とは、壊死状態が黒色であるということです。

D 体位変換の時間は、原則的に2時間ごとと言われています。



[問題8] 解答3

下大動脈(かだいどうみゃく)は、大静脈の一つで、胸より下の下半身(消化器官など)からの血液を集める静脈です。

肺動脈とは静脈血を酸素化のために肺に送る大血管であり、肺動脈には静脈血が流れています。

正しい。

心臓は一日約10万回収縮します。

肺動脈圧は大動脈圧より低い。
大動脈より肺動脈の血圧が高いと、肺へ血液を送り出している右心室に余計に負担がかかります。



[問題9] 解答2

A 正しい。
誤嚥性肺炎は咳き込む力が弱かったり、痰となって自然に汚物を出すことができないために起きます。

B 抗生物質は有効です。
誤嚥性肺炎は、肺炎の原因となる細菌を殺菌する抗生物質で治療します。
また、胃液を肺の中に吸い込んで肺炎になった場合は、ステロイドを短期に用いて肺炎を鎮める場合もあります。

C 正しい。
脳血管障害のある方や向精神薬(鎮静剤など)を服用している方は、熟睡しているときに不顕性誤嚥を起こしやすくなります。
従って鎮静剤の服用も、誤嚥性肺炎になりえます。

D 正しい。
誤嚥性肺炎を予防する方法はいくつかありますが、最も効果的な方法として注目されているのが口腔ケアです。
口腔ケアとは、普通の歯磨きと同様に、口の中をきれいにすることを意味します。



[問題10] 解答2

通常は加齢と共に、どの筋力も低下してきます。

正しい。
加齢と共に肺活量は低下します。

高齢化と共に、末梢神経の伝導速度は亢進するどころが遅くなっています。

高齢者の血行動態的特徴は、総末梢血管抵抗の著増、循環血液量の低下、心拍出量の低下傾向、心拡張能障害などが挙げられます。
これらの結果、脳循環、冠循環、腎血流などの主要臓器血流量は低下します。

加齢と共に高音領域が障害されます。
高齢者とお話しするときは、低音でコミュニケーションをとると聴きやすいようです。



[問題11] 解答2

A 正しい。
脳出血は、”脳溢血(のういっけつ)”とも言われます。
脳内の細い血管が破綻して出血し、出血に巻き込まれた神経細胞が傷害される病気です。
加齢や持続する高血圧症が原因で脳の小動脈に脳内動脈瘤ができ、これが破れることが直接原因と考えられています。

B 「片頭痛」とは、頭の血管が拡張するために、血管のまわりの神経が刺激されて起こる頭痛です。
くも膜下出血の原因はほとんどの場合、脳の動脈の分岐部にできた動脈瘤というコブ(脳動脈瘤)が破裂することによって生じますから、偏頭痛が引き金になるということはありません。

C 心房細動は、書いて字のごとく心房が細かく振るえるような動きをする不整脈のことです。
この時に血液の流れが滞ってしまい、心房の中に血の塊が出来ます。
それが飛んで脳の血管に入ってしまうと、大きな脳梗塞、つまり脳塞栓の原因になります。

D 正しい。
一過性脳虚血発作は、脳への血液供給が一時的に遮断されるために起こる一時的な脳機能障害です。
これは脳梗塞が起こりかけている警告サインとなりますが、過去に1度でも一過性脳虚血発作が起きている人は、約3人に1人の割合で脳梗塞を発症すると言われています。



[問12] 解答5

正しい。
糖尿病では、血液が高血糖のため糖分を多く含み、粘性が強いため、細小血管をつまらせたり、血管壁に負担をかけ、細小血管症を起こします。
そのため、網膜の酸素や栄養が不足してしまい、眼底出血などの症状を示す網膜症が起こります。

正しい。
糖尿病腎症は初期の段階では無症状ですが、ある程度まで進展すると軽い蛋白尿がみられるようになります。
これが悪化するにしたがって、尿中の蛋白量が増加していきます。

正しい。
足指などの血液の循環が悪くなることで、傷口から壊疽が始まります。
糖尿病の方は手や足の神経が普通の人より感じにくいところがありますから、要注意です。

正しい。
糖尿病と高血圧・高脂血症が伴うと、動脈硬化を引き起こす可能性が非常に高くなり、また動脈硬化の進行を早めるようになります。
一旦動脈硬化が起きると、心筋梗塞や狭心症・脳梗塞などが起きるので注意が必要です。

気管支喘息は、空気の通り道である気管支がアレルギーなどで炎症を起こし過敏になり、何かの刺激で腫れたり痰が出たりして狭くなり、呼吸が苦しくなる慢性の病気ですから、糖尿病の合併症とはまったく関係がありません。