介護福祉士 第21回 老人福祉論 解説


[問題1] 解答5

A 自立支援の観点からできる限り自立歩行を行えるような支援が必要なので、電動車いすの貸与を勧める助言は不適切。
また、電動車いすの場合、要介護1の者に対しては基本的に保険給付の対象外でもある。

B 自立支援の観点からできる限り起居動作を自分で行えるような支援が必要なので、電動ベッドの貸与を勧める助言は不適切。
また、電動ベッドの場合、要介護1の者に対しては基本的に保険給付の対象外でもある。

C 正しい。

D 正しい。



[問題2] 解答1

「心身の健康の保持及び生活の安定 ― 社会的活動 ― 日常生活」 が正解。

 老人福祉法の目的として、老人福祉法第1条に「この法律は、老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、老人に対し、その心身の健康の保持および生活の安定のために必要な措置を講じ、もって老人の福祉を図ることを目的とする」と規定されており、同法の基本的理念のひとつとして、老人福祉法第3条第2項に「老人は、その希望と能力とに応じ、適当な仕事に従事する機会その他社会的活動に参加する機会を与えられるものとする」と規定されている。
 また、介護保険法の目的として、介護保険法第1条に「この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排泄、食事等の介護、機能訓練並びに看護および療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービスおよび福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上および福祉の増進を図ることを目的とする」と規定されている。




[問題3] 解答4

A 介護予防サービス事業所の指定は、市町村長ではなく都道府県知事が行う。
これは、介護保険法第115条の2に規定されている。

B 正しい。
介護保険法第115条の20に規定されている。

C 正しい。
介護保険法第78条の2に規定されている。

D 特定福祉用具販売事業所を含む居宅サービス事業所の指定は、市町村長ではなく都道府県知事が行う。
これは、介護保険法第70条に規定されている。



[問題4] 解答3

高齢者の「社会的入院」問題は、療養病床の制度ができたことで初めて社会的な問題となったのではなく、それ以前からすでに社会的な問題となっていた。

「社会的入院」問題の解消を目指し、医療に重点を置いたケアの必要性が高まったのではなく、在宅復帰や地域ケアなどの必要性が高まった。

正しい。
介護老人保健施設は、看護・介護・機能訓練に重点を置き、医療ケアと日常生活サービスを提供するために創設され、入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づき@看護、A医学的管理の下における介護、B機能訓練、C必要な医療、D必要な日常生活上の世話が行われている。

訪問看護は、居宅要介護者に対してその者の居宅において介護福祉士その他政令で定める者によって、入浴・排泄・食事等の介護その他の日常生活上の世話を行うものであり、医学的管理の下における介護その他の世話を行うのではない。

介護保険施設の1つである介護療養型医療施設は、「療養病床等(医療法に規定する療養病床のうち要介護者の心身の特性に応じた適切な看護が行われるものとして政令で定めるものまたは療養病床以外の病院の病床のうち認知症である要介護者の心身の特性に応じた適切な看護が行われるものとして政令で定めるもの)を有する病院または診療所であって、当該療養病床等に入院する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護その他の世話および機能訓練その他必要な医療を行うことを目的とする施設」をいうものであり、医療法に基づいて行われるものである。



[問題5] 解答3

ユニットとは、「少数の居室および当該居室に近接して設けられる共同生活室により一体的に構成される場所」をいう。
指定介護老人福祉施設の人員、設備および運営に関する基準第38条に規定されている。

便所は、「居室ごとに設けるか、または共同生活室ごとに適当数設けること」と、指定介護老人福祉施設の人員、設備および運営に関する基準第40条に規定されている。

正しい。
指定介護老人福祉施設の人員、設備および運営に関する基準第47条に規定されている。

「ユニット型指定介護老人福祉施設は、入居者の外出の機会を確保するよう努めなければならない」と指定介護老人福祉施設の人員、設備および運営に関する基準第45条第4項に規定されており、入居者の生活をなるべく地域社会との関係を持たないように工夫することは不適切。

「ユニット型指定介護老人福祉施設は、入居者が相互に社会的関係を築くことができるよう、その意思を尊重しつつ、入居者が共同生活室で食事を摂ることを支援しなければならない」と指定介護老人福祉施設の人員、設備および運営に関する基準第44条第4項に規定されている。



[問題6] 解答4

平成17年の介護保険法の改正で法令上に明示されたものではない。
この改正で初めて法令上に示されたのは、「地域密着型サービス」。

平成17年の介護保険法の改正以前から、要介護者等の自立を図ることを目的としていた。
なお、この改正で法令上に示されていたものは「尊厳の保持」に関する記述である。

ゴールドプラン21に関する記述は、介護保険法の法令に示されていない。

正しい。

市町村介護保険事業計画は、平成17年の介護保険法の改正以前から法令上に示されていた。



[問題7] 解答2

通所介護の介護報酬は、サービスの提供時間や事業所規模、要介護度などによって異なる。

正しい。

特定施設入所者生活介護と介護老人福祉施設の介護報酬は同じではなく、別々に設定されている。

介護老人福祉施設では、低所得者対策として介護費、食費、居住費の負担の軽減が図られている。

居宅療養管理指導の報酬は、医療保険からではなく介護保険から支払われる。



[問題8] 解答4

居宅サービス計画が作成されていない場合であっても、介護保険制度による居宅介護サービスの給付を受けることが可能。

指定居宅介護支援等の事業の人員および運営に関する基準第13条第1項第10号に「介護支援専門員は、居宅サービス計画の原案に位置づけた指定居宅サービス等について、保険給付の対象となるかどうかを区分した上で当該居宅サービス計画の原案の内容について利用者またはその家族に対して説明し、文書により利用者の同意を得なければならない」と規定されており、利用者の同意は口頭ではなく文書によって行わなければならない。

指定居宅介護支援等の事業の人員および運営に関する基準第13条第1項第1号に「指定居宅介護支援事業所の管理者は、介護支援専門員に居宅サービス計画の作成に関する業務を担当させるものとする」と規定されており、居宅サービス計画の作成は介護支援専門員が行わなければならない。

正しい。
指定居宅介護支援等の事業の人員および運営に関する基準第13条第1項第18号に規定されている。

指定居宅介護支援等の事業の人員および運営に関する基準第13条第1項第11号に「介護支援専門員は、居宅サービス計画を作成した際には、当該居宅サービス計画を利用者および担当者に交付しなければならない」と規定されており、居宅サービス計画は居宅サービス事業者に交付しなければならない。



[問題9] 解答4

平成16年国民生活基礎調査による「主な介護者と要介護者等との続柄および同別居の構成割合をみると、要介護者等と同居している家族等介護者の割合は66.1%となっており、別居している家族等介護者の割合よりも多くなっている。
なお、平成19年国民生活基礎調査では、要介護者等と同居している家族等介護者の割合は60.0%となっている。

平成16年国民生活基礎調査による「主な介護者と要介護者等との続柄および同別居の構成割合をみると、「配偶者」が24.7%と最も多く、次いで「子の配偶者」が20.3%となっており、「子の配偶者」が最も多いわけではない。
なお、平成19年国民生活基礎調査では、主な介護者と要介護者等との続柄は、「配偶者」25.0%「子」17.9%、「子の配偶者」14.3%の順に多くなっている。

平成16年国民生活基礎調査による「主な介護者と要介護者等との続柄および同別居の構成割合をみると、「男性」25.1%、「女性」74.9%となっており、男性よりも女性の方が多くなっている。
なお、平成19年国民生活基礎調査では、「男性」28.1%、「女性」71.9%となっている。

正しい。
なお、平成19年国民生活基礎調査では、同居している主な介護者を年齢階級別にみると、60歳以上である者は全体の58.6%と半数以上となっている。

要介護5の要介護者と同居している主な介護者のうち、「ほとんど終日」介護しているのは50.4%と2割を大きく超えている。
なお、平成19年国民生活基礎調査では、「ほとんど終日」介護しているのは52.7%となっている。


[問題10] 解答2

シルバー人材センターは、一般社団法人などの申請により、原則市町村の区域ごとに1個に限り、都道府県知事が指定を行うものである。

正しい。
シルバー人材センターの業務のひとつに「臨時的かつ短期的な就業またはその他の軽易な業務に係る就業を希望する高年齢退職者のために、これらの就業の機会を確保し、および組織的に提供すること」と規定されている。

シルバー人材センターの業務のひとつに「臨時的かつ短期的な雇用による就業またはその他の軽易な業務に係る就業を希望する高年齢退職者のために、無料の職業紹介事業を行うこと」と規定されており、有料の職業紹介事業を行うことはできない。

シルバー人材センターと高齢者能力開発情報センターとは異なるものである。

シルバー人材センターは、高齢者等の雇用の安定等に関する法律に基づき設置される。