介護福祉士 第21回 形態別介護技術 解説


[問題1] 解答4

平成19年中における自殺の概要資料によると、平成19年中における自殺者の総数は33,093人であり、年間10万人を大きく下回っている。

平成18年人口動態統計調査による肺炎による死亡者数は107,242人となっており、自殺による死亡者の方が肺炎による死亡者数よりも少なくなっている。

平成18年人口動態統計調査による主な死因別にみた都道府県別死亡者数・死亡率(人口10万対)を見ると、秋田県が42.7ともっとも多く、奈良県が18.0と最も低くなっており、都道府県別自殺死亡率には差異が認められる。

正しい。
平成19年中における自殺の概要資料による原因・動機別状況をみると、原因・動機が明らかなもののうち、健康問題(14,684人)にあるものが最も多くなっている。

平成18年人口動態統計調査による死因簡単分類別にみた性別死亡数・死亡率(人口10万対)をみると、男性の自殺死亡率は34.8、女性の自殺死亡率は13.2となっており、男性の方が女性よりも高くなっている。



[問題2] 解答1

正しい。
虐待者の被虐待高齢者との続柄を見ると、息子による虐待が38.5%と最も多くなっている。

虐待の種別・類型において最も多いのは心理的虐待ではなく、身体的虐待(約6〜7割)。

被虐待高齢者の性別の割合をみると、男性が約2割、女性が約8割となっており、女性の方が被害を受ける割合が高くなっている。

養護者による高齢者虐待についての状況を世帯別でみると、未婚の子と同一世帯が最も多く(31.3%)なっており、次いで既婚の子と同一世帯、夫婦二人世帯となっている。

養護者による高齢者虐待についての対応を相談・通報者内訳でみると、民生委員が最も多いわけではなく介護支援専門員・介護保険事業所職員が41.4%と最も多く、次いで家族・親族となっている。



[問題3] 解答1

起立性低血圧の改善には、ゆっくりした立ち上がり動作を行うことや食事の改善、薬物療法などが有効。
そのため、安静臥床を実施した場合、起立性低血圧の改善に効果は得られないだけでなく、寝たきりにつながる対応である。

正しい。
尖足の予防・改善に向けて、リハビリテーションの1つである関節可動域訓練を実施することは適切な対応である。

正しい。
誤嚥性肺炎の予防対策として、口腔ケアを行うことは適切な対応である。

正しい。
尿路感染症の予防・改善に向けて、定期的な水分摂取を行い、1日の適切な水分摂取量を確保することが効果的である。

正しい。
便秘の予防対策として、腹部のマッサージを行うことは効果的である。



[問題4] 解答3

何回も同じことをたずねる利用者に対して、「しばらくお待ち下さい」という発言は、疎外感を感じ不安を大きくするものであり、不適切な対応。

「ここ」というのは、今いる場所ではなく施設や居宅を指すものであり、「施設(居宅)で生活していいのか」と受け止めることが適切である。
そのため、「ここでじっとしていてください」という発言は不適切。

正しい。

「ここにいていいのか」という発言は、「ここから追い出されてしまう」などの不安の現れによるものと受け止めることが適切であり、「どこか行きたい所があるのか」という発言ではこの不安を大きくしてしまう。

何回も同じことをたずねる利用者に対して、「何度も同じことを聞かないでください」という発言は、疎外感を感じ不安を大きくするものであり、不適切な対応。



[問題5] 解答5

視覚障害のある利用者に対して手引き歩行を行う場合において、溝や段差をまたいで越える際は、介助者が先に越えた後に、利用者に溝の幅などを説明して越えてもらうように対応することが適切。

ドアのある場所を通るときは、ドアが急に開くなどの危険性があるため、介助者が先に通って安全を確認した後、利用者を通すことが適切。

座席に誘導するときは、利用者に肘掛や背もたれなどの座席の特徴を説明して、座面部分を触らせることが適切。

階段を上がるときは、介助者は利用者の前(上)を歩き、段差の状況を説明しながら、利用者のペースに合わせて上がることが大切。

正しい。
狭い通路を通るときは、介助者が腕を自分の背中に回し、利用者の前から、壁や突起物など通路の説明をしながら誘導することが適切である。



[問題6] 解答4

正しい。

正しい。

正しい。
難聴の兆候として、相手の言葉を十分に聞き取れないことから、会話でつじつまの合わないことを言う特徴がある。

難聴の兆候として、団らんの場で一人ひとりの言葉が聞き取れず集団での会話が困難になる特徴があり、団らんの場で会話することが減る傾向にあります。

正しい。



[問題7] 解答5

A 過去の療養体験を聞くことは、利用者を理解するために必要なことである。

B 精神障害のある利用者に対して、励ますことは精神的な負担を与えるとともに、病状の悪化につながる不適切な対応である。
援助者は、利用者がつらいときや苦しいと感じているときは、その気持ちを受け止め、共感的な理解を示すことが大切である。

C 正しい。
援助者はそのまま受け止め、共感的な理解を示すことが大切。

D 薬を飲みたくないと訴えてきた場合には、援助者は服薬をするように促すことが大切であり、「無理に飲まなくてよい」と話すことは不適切な対応。



[問題8] 解答4

A 「介護は負担ではない」という言葉をそのまま解釈すると、「家族介護者に介護疲労がない」だけであって、介護上の問題がないとは言えない。
介護従事者は、このような発言をした際の家族介護者の表情なども観察して、一定の幅をもった推測や判断をすることが大切。

B 腰痛に悩む家族介護者に対し、腰への負担が少ない介護方法や腰痛の予防方法、コルセットの利用などに関して情報提供や助言などを行うことは適切だが、コルセットを提供することは不適切な対応。

C 正しい。
利用者の生活習慣だけでなく、家族介護者の介護方法や生活習慣などについても、基本的には尊重することが大切。

D 正しい。
福祉用具を選択する際には、各用具の使い方、メリット、デメリットなどに関して、利用者だけでなく家族介護者に対しても説明を行うことが大切である。



[問題9] 解答1

A 正しい。
ただし、必ずしも手話を習得しているとは限らないため、筆談や口話などその人に合わせたコミュニケーション方法を用いることが大切。

B 正しい。
ただし、その人に合わせたコミュニケーション方法を用いることが大切。

C 正しい。
麻痺性構音障害の程度によって、コミュニケーションエイド(意思伝達装置)を活用することで、コミュニケーションの活性化につながるため有効である。

D 失語症の訓練では、絵カードを活用するなどの言語訓練が行われるものの、他人の言葉や自分の言葉の理解ができない特徴を持つ感覚性失語症者の方が、運動性失語症者に比べて絵カードが有効とは言えない。
その人の特徴に合わせた言語訓練プログラムを実施することが大切。



[問題10] 解答3

急な下り坂において車いすでの移動介助を行う際は、後ろ向きで介護者が車いすを支えながら下ること。

平地での曲がり角では、安全面を考慮し、車いすの速度を下げ、角で一時停止をして、左右の安全確認を行って曲がること。

正しい。

車いすを持ち上げて階段を上がる場合、ブレーキはかけて行うこと。

不整地を走行する場合は、揺れが少ないように、路面に合わせて、キャスターを上げて走行すること。



[問題11] 解答5

室内は乾燥しすぎないよう湿度に配慮するとともに、空気を清浄に保つことが大切。

在宅酸素療法を行っている者は、外出することも可能であるため、外出を控えるよう勧めることは不適切。

酸素流量の調整は医師の判断で行うものであり、介護従事者が行うことはできない。

浴槽に入る際は鼻カニューレを外さずに入るよう勧めることが大切であるとともに、入浴は医師の指示に従うことが大切。

正しい。



[問題12] 解答4

正しい。
パーキンソン病の四大運動症状の1つ「振戦」の特徴である、安静時振戦がみられる。

正しい。
歩きだすと小刻みであるという特徴をもつ、小刻み歩行がみられる。

正しい。
歩きだすとだんだんと加速する、加速歩行がみられる。

Rさんの姿勢及び歩行では、はさみ足歩行の特徴は見られない。

正しい。
始めの一歩が出にくいという特徴がある、すくみ足がみられる。



[問題13] 解答5

Rさんは午後3時頃になると無動などの症状が現れていることから、買い物の外出支援は午後ではなく、比較的症状の緩和がみられる午前中に行うことが大切。

パーキンソン病の症状の1つである手の震えに対して、Rさんの前腕に圧迫帯を巻いても改善への効果はない。

正しい。
舌が絶えず動くようになったRさんに対して、円滑にコミュニケーションが図れるように文字盤などの活用を試みることは適切。

正しい。
始めの一歩が出にくい特徴のあるRさんに対して、足下に目印を置いてまたがせるように介助を行うことは、一歩目を踏み出しやすくするために適切な対応である。



[問題14] 解答4

突然動作が止まることは、パーキンソン病の四大運動症状の1つである「無動」の特徴なので、「疲労によるもの」と説明することは不適切。

「誰かにのぞかれている」のは幻視や幻聴などの症状であるため、「視力低下」と説明することは不適切。

舌が絶えず動く症状は、パーキンソン病による振戦症状の1つであるため、「何かを伝えたい」と説明することは不適切。

正しい。

幻視や幻聴などは抗パーキンソン剤の副作用の可能性もあるため、「男の人の声が聞こえる」という幻聴の症状を認知症と判断することは不適切な対応であるとともに、症状の判断は医師が行うものであり、介護従事者が断定して家族などに説明してはいけない。



[問題15] 解答3

正しい。
自室がわからずうろうろしているYさんのアセスメントとして、徘徊症状の進行について観察などを行うことは適切。

正しい。
Yさんは長期間ステロイドを内服しており、ステロイドの副作用の1つに感染症を増悪させる作用があるため、感染症のかかりやすさについて医師などに相談し、検討や観察などを行うことは適切。

Yさんは寝たきり状態ではないので、現段階で褥瘡の危険性についてアセスメントを行う必要はない。

正しい。
下肢筋力の低下によるふらつきが目立つYさんのアセスメントとして、転倒の危険性について観察などを行うことは適切。

正しい。
水分摂取量が少ないYさんのアセスメントとして、脱水症のおそれについて観察などを行うことは適切。



[問題16] 解答5

正しい。
Yさんは自室がわからないことがあるので、自室やトイレ・洗面所などに表示をつけて、移動がスムーズに行えるように支援することは適切。

正しい。
Yさんは水分摂取量が少なく脱水症を生じる危険性があるので、適切な量の水分摂取が行えるように支援することは適切。

正しい。
感染症の予防対策として、手洗いやうがいなどを励行することは適切。

正しい。
Yさんは夜間に失禁がみられ、おむつを使用しているので、排泄の状況を観察し、おむつをはずす機会を探るなどの検討を行うことは適切。

Yさんは下肢筋力の低下によるふらつきが目立つものの自力で歩行できるため、できる限り歩行動作能力の維持・改善を図ることが大切である。
移動を車いすで行うことを介護計画で位置づけることは不適切。



[問題17] 解答5

Yさんに対して長湯を行うと、疲労を増大させるだけでなく脱水症を起こす危険性があるため、主治医の意見の下、適切な入浴時間で行うことが大切。
なお、一般的に、入浴時間の目安は15分程度が適切である。

アルカリ性の石鹸は、酸性の石鹸より油分をよく落とす効果がある。
肌にかゆみがあり、入浴時に保湿剤を使用しているYさんにアルカリ性石鹸を使うことは、皮膚の乾燥につながるとともにかゆみが増す危険性がある。
この場合、主治医や皮膚科医などの指示に基づき、適切な石鹸を使用することが大切。

正しい。
自立支援の観点から、入浴介助を行う場合であっても、できることは自分で行ってもらう姿勢が大切。
Yさんの関節可動域の範囲で、自分で洗ってもらうことは適切な対応である。

正しい。
入浴時に皮膚の状態を観察し、状態の悪化などがみられた場合には、速やかに主治医などの医療関係者に報告し、指示を求めることが大切。



[問題18] 解答2

Sさんは頸髄損傷(C4損傷)で、自発呼吸は可能であるものの、肩甲骨の挙上が可能である程度で、ほとんどの動作に介助が必要である。
座位での移動を行うことはできない。

正しい。

Sさんの身体状態では、肘を曲げることはできない。

Sさんの身体状態では、寝返りをうつことはできない。

Sさんの身体状態では、つまみ動作を行うことはできない。



[問題19] 解答2

正しい。

Sさんの身体状態では便意を感じることはできないので、この部分に関しては観察する必要はない。

正しい。

正しい。

正しい。



[問題20] 解答3

A 正しい。
今後の支援に向けて、Sさんのニーズを詳細に把握するとともに、Sさんの気持ちを理解することのできる適切な対応である。

B Sさんは自分で買い物したいという外出の機会を望んでいるため、「疲れて大変だ」という発言はSさんの希望の妨げになり不適切。

C Sさんは自分で買い物したいという外出の機会を望んでいるため、「代わりに買ってくる」という発言はSさんのニーズに沿っていない不適切な対応である。

D 正しい。
Sさんの希望の実現に向けた適切な対応である。