介護福祉士 第21回 介護技術 解説


[問題1] 解答4

A 足のむくみは、脱水に影響するものではない。

B 正しい。 
口腔内の乾燥は、脱水の兆候に該当するものである。
高齢者は加齢に伴い、唾液分泌量が低下し、口腔内が乾燥しやすくなる。

C 尿意のある排尿は、脱水に影響するものではない。
ただし、脱水予防として定期的な水分摂取を行うことがあるため、排尿をした場合などは水分摂取を促すことが大切。

D 正しい。 
ぼんやりとして元気がないのは、脱水の兆候に該当する。




[問題2] 解答5

ベッドに深く腰掛けるように促すのではなく、ベッドに浅く腰掛けるように促すことによって、両足が床にきちんと着き、立ち上がり動作および立位への介助が容易になる。

両足は、膝よりも前に出すように促すのではなく、膝よりもやや後ろに、両足をしっかりと床につけるように促す。

立位介助において、介護者は、利用者の患側を補助する役割がある。
そのため、利用者の左側(健側)に立つのではなく、右側(患側)に立つ。

利用者が頭をそらせると、体重が後方にかかるため、不適切。
立位への介助をする場合には、利用者にやや前傾姿勢になるように促すことで、立位動作および立位への介助が可能になる。

端座位は、重心が大腿部にかかっているため、介護者は患側である右大腿部に手を当て、立ち上がり動作を補助する。



[問題3] 解答5

正しい。
おむつ交換のときは、使い捨ての手袋を着用したり、排泄介助前後の手の消毒などを行い、感染症の予防を図ることが大切。

正しい。 
介護者は、利用者が自己導尿を行いやすいように、体位を保持する介助は適切。

正しい。 
差し込み便器を排便・排尿に利用する際、一般的に仰臥位で行うよりも、座位で行う方が排便・排尿しやすいため、利用者の身体状況・排泄方法に合わせてベッドの頭側を挙上することは適切な対応。

正しい。
膀胱留置カテーテルの挿入部が不潔状態にあると、感染症の原因などにつながる危険性があるため、介護者は清潔の保持に努めることが大切。

ポータブルトイレは、利用者の身体状況(障害の程度、体格など)に適したものを選定することが望ましいため、 安易に小型で軽いものを選ぶことは適切ではない。



[問題4] 解答 3

日本茶やコーヒーには、覚醒作用を持つカフェインが含まれているため、就寝前に濃い日本茶を飲むことは不適切。

消化には1時間半〜2時間程度かかるため、就寝前ではなく、就寝の2時間〜3時間前に食事を済ませることが大切。

正しい。
就寝前に入浴(ぬるめの湯)や足浴を行うことによって、体が温まり、入眠しやすい効果があるため、安眠に向けた介助方法として適切。

部屋の電気を全て消すことは、夜間にトイレなどに移動する際、転倒などを起こす危険性などがあるため、間接照明や足元灯などによって一定の明るさを保持することが大切。

一般的に、マットレスはやや硬めのものを使用する方が入眠しやすいとともに、立ち上がり動作を行いやすいといえる。
また、利用者の好みに合わせることも大切。



[問題5] 解答3

「患側上肢 → 健側上肢 → 頭」      が正解。

  
片麻痺がある利用者への着衣介助を行う際には、患側上肢→健側上肢→頭の順番で行うことが適切であり、脱衣介助を行う際には、健側上肢→患側上肢→頭の順番で行うことが適切。
よって、解答は3となる。



[問題6] 解答4

湯温の確認は、まず介護者の手で確認し、その後、利用者の指先・足先の末端部から湯をかけて確認してもらうことが大切。

一般的な入浴時間の目安は15分程度であり、血圧の低い者がぬるいお湯に長く入ると、ふらつきやめまいなどを生じる危険性があるため不適切。

片麻痺の利用者の場合、麻痺側から浴槽に入るのではなく、健側から浴槽に入るように支援すること。

正しい。
入浴の1時間半から2時間前に食事をすませ、空腹状態や満腹状態を避けて入浴を行うこと。

休息の際、身体が濡れていると、水分の蒸発により体温が奪われ、湯冷めの原因となるため不適切。
入浴後の利用者は体力を疲労しているだけでなく、体内の水分量も低下しているため、身体の水分をすぐに拭きとり、 安静を図るなど休息をとるとともに、水分摂取や体温の保持を行うこと。



[問題7] 解答3

A 湯たんぽの湯の温度は80℃程度ではなく、一般的に40〜50℃とすることが望ましい。

B 正しい。
身体に密着させることで低温火傷を生じる危険性があるため、湯たんぽの容器はタオルなどで包み、身体に直接触れないように対応することが大切。

C 正しい。
容器の中に空気が入っていると、湯が冷めた時に容器が変形するなどの危険性があるため、 容器内の空気を抜き、栓をしっかりとしめておくことが大切。

D 感覚鈍麻のある部位に湯たんぽを使用すると、低温火傷を起こす危険性があるため、感覚が正常な部位に使用することが大切。



[問題8] 解答4

正しい。
褥瘡予防具の1つである電動エアマットを使用している際にも、体位変換を行うことが大切。

正しい。
皮膚の湿潤は褥瘡の発生要因となるため、おむつが濡れた場合には、すぐに取り替えることが大切。

正しい。
長時間の同一体位は、体重のかかっている皮膚や骨部位に褥瘡が発生する要因となる。
そのため、約2時間ごとの定期的な体位変換などを行い、長時間の同一体位を避けることが大切。

体位変換を行って側臥位とした場合、膝が重なっていると、重なり合う部分の皮膚に圧迫・摩擦が生じ、褥瘡が発生する要因となるため不適切。
側臥位に体位変換した際には、膝をずらすことが大切。

正しい。
車いすと接触している部分が、ずり落ちによって摩擦が生じ、褥瘡が発生する要因となるため、ずり落ち防止を図ることが大切。



[問題9] 解答4

点眼薬は滴下数が多いほど効果が増すわけではなく、医師の指示(使用方法)に基づき、決められた滴下数を点眼すること。

目やには、そのままにして点眼すると、眼球に入る危険性があるため、不適切。
点眼前に眼の周囲を洗うなどによって、目やにを除去しておくことが大切。

点眼時の滴下は、眼球の上ではなく、目頭付近に点眼することが大切。

正しい。
点眼容器の先端は、清潔に保つことが大切であるため、まつげなどに触れないように使用すること。

複数の薬の点眼を行う場合には、 医師の指示に基づき、適切な間隔をあけて行うこと。



[問題10] 解答5

正しい。
福祉用具を選定する際、援助者は、利用者の使用目的や能力、体格などを踏まえて、利用者にとって最適な性能の福祉用具を勧めることが適切である。

正しい。
福祉用具を選定する際、援助者は、メンテナンスや操作が複雑で利用者が理解できないものは避けるように支援を行うことが適切である。

正しい。
福祉用具を選定する際、援助者は、今後、利用者の状態に変化があることを踏まえ、福祉用具の購入だけでなく、貸出制度の利用も検討することが大切。

正しい。
福祉用具を選定する際、援助者は、利用者の使用目的や能力、体格などを踏まえるとともに、 利用者の生活の場である住居環境も踏まえて、利用者にとって最適な福祉用具を勧めることが適切。

福祉用具を選定・決定するのは利用者自身であり、援助者(介護支援専門員を含む)は、利用者が適切な福祉用具を選定・決定できるように、情報提供や説明を行うなどの側面的支援を行うことが適切。
介護支援専門員の指示に従うよう勧めることは不適切。



[問題11] 解答3

強い尿意があり我慢できず漏れるのは、機能性尿失禁ではなく、切迫性尿失禁の特徴。

階段や坂道をおりているときに漏れるのは、機能性尿失禁ではなく、腹圧性尿失禁の特徴。

正しい。
機能性尿失禁は、尿路系に障害はないものの、他の障害などにより失禁してしまう特徴があり、知的障害者や言語障害のある肢体不自由者などが、尿意をうまく伝えられないために漏れてしまうなどのケースがある。

冷たい水に触れると我慢できず漏れるのは、機能性尿失禁ではなく、反射性尿失禁の特徴。

尿意がなく知らないうちに漏れるのは、機能性尿失禁ではなく、神経因性膀胱の溢流性尿失禁の特徴。



[問題12] 解答2

A 正しい。
ノロウイルス感染の疑いがある場合、下痢や嘔吐による排泄物からウイルスが排出されるため、排便の状況を確認することが重要。

B 特別に入浴の状況を確認する必要はない。

C 特別に睡眠の状況を確認する必要はない。

D 正しい。
ノロウイルスはカキなどの二枚貝を経口摂取することで食中毒を生じる一次感染があるため、食事内容の状況の確認をすることが重要。



[問題13] 解答3

ノロウイルス感染の疑いがある者の場合、下痢や嘔吐による排泄物からウイルスが排出され、その排泄物から二次感染の拡大につながる危険がある。
手洗いやうがいなどの対応が求められるが、入浴の有無は特別関連がない。

正しい。
感染の疑いがある者の下痢や嘔吐による排泄物が乾燥したことによって生じる塵埃を介して経口感染する危険性があり、手すりやドアノブなどにも汚染する危険があることから、ノロウイルスの二次感染を拡大させないよう、手洗いの徹底を図ることが重要である。

正しい。
ノロウイルスの二次感染を拡大させないよう、疑いがある者を静養室に隔離することが大切である。

ノロウイルス感染の疑いがある者の吐物の消毒には、逆性石鹸ではなく塩素系漂白剤を用いることが大切。



[問題14] 解答5

正しい。
まず、考えられる原因や施設の現況などの集団感染に至る経緯を説明することが大切。

正しい。
感染の拡大の可能性について説明するとともに、ノロウイルスの二次感染の拡大を防ぐために実施している対応などについて説明することが大切。

正しい。
一般的なノロウイルスの感染による症状や治療法、予後などを説明するとともに、重篤なケースもあることを説明することが大切。

正しい。
ノロウイルスの主な感染経路は経口感染であるため、面会時にはマスクを着用するよう説明することは適切。

ノロウイルスに有効なワクチンは現在のところないため、このような説明を行うことは不適切。



[問題15] 解答1

正しい。
できる限り入浴の自立を図るとともに安全面も考慮する必要があるため、シャワーチェアーの購入を勧めることは適切。

正しい。
安全面を考慮しているとともに、Kさんの清潔保持に向けて適切な対応である。

Kさんは入浴に不安を抱えているものの、できる限り自分のことは自分で行いたい希望を持っているため、訪問介護員が清拭を行うことは不適切。

自宅やデイケアで入浴を行うことができるKさんに対して、新たなサービスとして介護予防訪問入浴介護を勧めることは不適切。



[問題16] 解答4

A Kさんは排泄の失敗はみられるものの、自分で排泄を行うことができる状況にある。
そのため、排泄の自立を妨げる危険性があるおむつの使用を勧めることは、不適切。

B 正しい。
Kさんの排尿パターンやトイレまでの移動状況などを観察・把握し、定期的なトイレ誘導を行うことは適切である。

C 正しい。

D 正しい。
廊下やトイレに手すりを設置し、排泄の失敗を減らして排泄の自立を図るよう配慮するとともに、安全面も考慮することは適切である。



[問題17] 解答2

正しい。
下肢の筋力トレーニングを勧め、歩行動作の維持・改善を図ることは適切。

足がおぼつかず歩行が不安定であるとともに、入浴中の転倒などを恐れるなど生活への不安も抱えているKさんに対し、一人で買い物に行くよう勧めることは、抱えている不安を大きくするとともに転倒の危険性もあるため不適切。

正しい。
交流の機会の確保や日中活動の活性化につながるため適切。

会社員であり他県に住んでいる長女に訪問回数を増やすよう勧めることは、長女の意思の確認が取れていないだけでなく、できる限り自分のことは自分で行いたいというKさんの希望にも反する行為である。



[問題18] 解答3

A 正しい。

B Mさんは自宅で過ごす時間が多くなっているものの、時々妻の介助を得て散歩に出かけていることから閉じこもり状態にあるとは言えない。

C 正しい。

D 脳梗塞を患った経緯があるMさんにとって、今後、認知機能の低下が生じる危険性はあるものの、現状で認知機能が低下しているとは言えない。



[問題19] 解答5

嫌いな食品の有無は、食事中にむせることに影響するものではない。

カロリーの摂取量の低下は、食事中にむせることに影響するものではない。

食事において、一般的に一口量を多くすると飲み込みにくく、むせやすくなる。
そのため、スプーンでの一口量が少ないことは、Mさんが食事中にむせることが多くなる要因として不適切。

風邪による咳の症状によって、一時的にむせることが多くなる可能性はあるが、Mさんの症状は安定していることから、風邪による影響がむせることが多くなる要因となっているとは言えない。

正しい。
Mさんの食事中の姿勢は、身体全体が右側にずり落ちていることが多いため、呼吸が正常に行えないなどの理由から、食事中にむせることが多くなる要因として考えられる。



[問題20] 解答2

正しい。
腰痛がある妻の昼夜を問わぬ介助を得て排泄を行っているため、妻への負担を少しでも軽減するため、体重を減らす目的で食事量や水分摂取量の低下を図っていると考えられる。

Mさんは、低栄養や糖尿病などの栄養管理が必要な疾患を患っているわけではない。
食事量や栄養バランスに関する問題も抱えていないので、食事量や水分摂取量の低下を図っていることが栄養バランスを考えているとは思えない。

正しい。

正しい。

正しい。