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1)湿疹・皮膚炎・かぶれとは?

湿疹・皮膚炎・かぶれはどれも同じように思えるし、なんだか違うもののようにも思えます。
湿疹とは、『皮膚表面の炎症』のことです。
言葉の説明からもわかるように、湿疹と皮膚炎は同じことを指します。

『かぶれ』とは、湿疹・皮膚炎の中でも問題物質が直接皮膚に接触した場合の皮膚の炎症のことをいいます。
専門的には『接触皮膚炎』という言い方もし、一般的によく起こりがちな湿疹・皮膚炎と考えることができます。

そのほかにも、湿疹・皮膚炎には、さまざまな種類のものがあります。

                   

2)湿疹・皮膚炎のメカニズム

私たちの身体では、様々な刺激に対する防御反応として免疫システムが働いています。
この免疫システムによって、体内に異物が入ると、それを除去しようと異物に対する攻撃が起きます。

しかし、時にはこの免疫システムが過剰に働くことで炎症が起こり、身体にとってマイナスとなってしまうことがあります。
これがいわゆる『アレルギー反応』であり、湿疹・皮膚炎の主な発症メカニズムです。
この結果、炎症の兆候として、発赤、腫脹・発疹、疼痛・かゆみといった症状が現れます。

そのほかにも、皮膚の許容量を超えた刺激物が肌に接し、皮膚細胞に障害を与えて湿疹・皮膚炎を引き起こすなど、免疫システムの抗原抗体反応が関与していない『非アレルギー性の湿疹・皮膚炎』もあります。
                 

3)代表的な湿疹・皮膚炎

それでは、代表的な湿疹・皮膚炎をあげてみましょう。

①一次刺激性接触皮膚炎 刺激物による強い刺激作用によって生ずる湿疹・皮膚炎のことです。
例えば、毒草であるハズの油やからしなどによる急性皮膚炎やせっけん、洗剤などによる主婦湿疹(手湿疹)、ガソリン、セメントによる職業性皮膚炎がこれに属します。
刺激物が接触した部位とその周辺に発症します。
②アレルギー性接触皮膚炎 身近な物に対するアレルギー反応が原因で起こります。
例えばアクセサリーやゴム、化粧品に対して、過敏に反応して起きる炎症などがこれに属します。
いわゆるかぶれとして知られ、一次刺激性と同様に刺激物が接触した部位とその周辺に発症します。
③アトピー性皮膚炎 明確な原因は、いまだ解明されていません。
本人あるいは家族にアトピー体質を有する者に発症します。
発症部位は年齢によって異なり、乳児期は頭や顔面に始まって全身へ広がり、学童期は肘やひざに強く症状が現れ、大人になると顔や手足に強い症状が出ます。
④脂漏性皮膚炎 皮脂の分泌異常によって発症する湿疹で、この皮脂分泌異常の原因としては、性ホルモンのアンバランスやビタミンB複合体の欠乏などが注目されています。
生後すぐの赤ちゃんの頭皮や顔に発症するかさつきやフケのような症状がこれに属します。
皮脂分泌が多い皮膚部位に多く発症し、真菌の一種マラセチアが関与しているとの説もありますが、まだ明らかにはなっていません。
⑤すでに発症している湿疹・皮膚炎が原因となり発症する湿疹・皮膚炎(自家感作性皮膚炎) すでに限局性に炎症を起こしている湿疹原発巣)があり、その経過中にかきむしったり感染症が加わるなどの原因で増悪したりすると、同時に原発巣から離れた部位に、同じような湿疹が急激に対称性に撒き散らしたように生じます。
原発巣の湿疹原因である「抗原」が、血液を介して全身へ広がる事で起こります。
必ずしも手で触れた記憶がないような場所まで、全身へ同じ湿疹が急激に広がります。
⑥環境が諸原因となる疾患 光、温度、湿気、風といった環境が原因となって発症する湿疹です。
例として光線による皮膚炎、寒冷や寒風によるひび・あかぎれ、高温・多湿が誘発する汗疹(あせも)があります。
衣服などで被覆されていない露出部位に多く発症します。
⑦細菌感染症 細菌が繁殖して、皮膚に炎症を起こします(化膿)。
皮膚を汚れた手で触って、そこに細菌が繁殖して炎症が起きたり、炎症部位を掻きむしったりする事で併発する細菌の二次感染による炎症などがこれに当てはまります。
細菌が付着した手で触れた部位に発症します。


4)早期治療が重要

湿疹・皮膚炎によってかゆみを感じるとつい掻きむしってしまいますが、皮膚をひっかくこと自体が刺激になって更にかゆみが生じ、「かゆいから掻く、掻くことで更にかゆくなる」という悪循環が起こります。

強く掻くと皮膚が赤くなり、ひっかき傷ができます。
長期間にわたって掻いたり擦ったりすると、皮膚が厚くなり、硬くてゴワゴワした状態になります(苔癬化といいます)。
こうして治療を怠っている間に、掻きむしった場所から雑菌が繁殖する事が、症状の悪化やトラブルの長期化を招く原因になってしまうのです。

かゆみなどの症状が出たら、早めに対処する早期治療が大切です。
医師や薬剤師に相談して、症状にあった薬を選ぶようにしましょう。
でも、まずは何より、お肌を清潔にして『掻かないこと』が大切です。

                 


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